『句集 風懐に歩三昧 幸月』より
毎日巡礼ヒロユキが気に入った句④
海鵜一羽羽根を広げし冬日哉 幸月
2018年10月吉野川の堤防の上にテントはって寝ていた。夜中に句集を広げるとこの句を見つけた、今まで「自画像」の詞書が目に入らず見逃していた句だ。「自画像」と知りこの句に感じ入った。
群れている様子が浮かぶ鵜であるが、さむざむとした陽ざしの中で羽根を広げ休んでいる、のんびりとも寂しげとも思える光景である。それが幸月さん自身であったのである。
この句の後に選んであった昆虫の句を読み返すと、本人の意図とは違うかもしれないがどれも自画像行末の暗示に見えてしまう。
羽根一枚失せし蜻蛉に膝を借す
逃げる蛾を掴み蜻蛉は喰みにけり
吾が肌に止まりて果つる蛾なりけり